ハートフォードのブラスターを手に入れ毎日のように握ってましたが、ふと何かが足りない事に気付きます。
劇中デッカードの腰にはホルスターに収まったブラスター。そう、ホルスターが無い。クロスドローの位置にフロントブレイクタイプのあのホルスターです。
他のホルスター流用など考えられない。
ハートフォードのHPを見ると既に廃盤。革細工は趣味の一つでもあるし、モデルガンのホルスターはこれまで何種類かは製作した経験もある。コレは自作しかないと決意。
先ずは形状の確認。
DVDやスチールを見ながら構造及びディテールを確認していきます。
ある程度把握していくと、どうしても分からない点も出てきます。とりあえず幾つか試作をしてディテールは決めていく事にしました。
しかし作業は想像以上に大変でした。腰に付けた時の感じや銃の保持など色々と苦労しました。ある程度の試作を終えてからブラスター本体のパーツ製作に没頭していた為にホルスターの考察及び試作は止まっておりました。
完全に忘れていた訳ではなく販売を視野に入れて革を選んだり更に完成度、再現度を上げるために努力はしておりました。何せ最初に試作を始めた時は発売は考えておりませんでしたので、仕様をきっちりと決める必要があったのです。
そして数年の歳月を経て遂に完成となりました。今回のホルスター製作は僕なりの解釈でこれが最終版と思えるところで完成としました。
ZOSPECLANDと言うのはプロップのベースになったホルスターが恐らくはSAFARILAND製と言われている点から、基本スタンスがパロディ(笑)なZOSPECとしましては”LAND”を付けずにはいられなかったと言ったところです。
サファリランドならぬジオスペックランドってトコであります。マークも当然ながらソレに準じております。
でも、決してふざけている訳ではなく焼印を特注でオーダーするぐらい大真面目に作りました。
あと、このホルスターに使用しております革についてですが、内張りのベロア等は国産品ですが表面の革はイタリア製の高級な革を使用しております。
それらを含めてブレードランナー・バガボンド・マガジンVOL.3に執筆させて頂きました時にホルスターについて詳しく触れております。以下抜粋(黄色字)した物に修正を加えております。
これは当初販売目的で作っていた訳ではなく、更に部品製作を始めた事で一度忘れた?存在になっておりました。
しかしヒーロースクリュ発売後、皆さんから『ホルスターの販売は無いのですか?』と聞かれる事が多く、これも商品化するしかないなと思った訳です。
でも途中で放置していた状態ですからどうしたものかと思っていた調度その時にホルスターに関する考察の資料を頂きまして、ここまでの資料があるならば更にプロップホルスターに近いものが出来る!と思いその方に相談させてもらいながら試作を再開しました。
そして現在、HPに最終試作としてアップしているのが公表している最終バージョンなのです。
ホルスターの発売が遅れている最大の理由は皮革の決定でした。
納得のいく上質な皮革で尚且つ安定品質で手に入る物を求めた結果、結局はイタリアからの取り寄せという形で落ち着きました。”リスシオ”という名前が与えられている時点でこの皮革が只者でない事が窺い知れます。
実際に調べてやはり只者でない事はすぐに分かりました。
ざっと説明しますと、この皮革は、イタリア・フィレンツェのタンナー(革製造者)カルロ・バダラッシィ社製の革です。樹皮や葉等から採取される植物性のタンニンをなめし剤として使用し、時間をかけて、ゆっくりとなめす方法で、近代的なクロム(化学薬品)なめしに比べ、コストが高くなりますが、公害面では、問題の少ない製法と言えます。さらにこれは、イタリア固有の昔ながらのバケッタ製法と呼ばれている製法で、牛のオイルを使用している革です。コスト面では、高くなってしまいますが、牛革ですから、牛のオイルとの相性は抜群です。近年は、コスト面により、魚のオイル等が主流となってしまっているのが現状です。
染色には、染料仕上げを施していますので、牛革の自然で素朴な表面感が保たれています。薄化粧ですので、表面の小キズ、シワ等が隠れにくく、デリケートな為、爪キズがつき易い等の欠点がありますが、反面、使い込むにつれ、ツヤが増し、色が濃くなって、革の味が良くなります。
最初は、気になる表面の欠点も、次第に気にならなくなり、むしろ革らしさを感じさせてくれるようになるでしょう。他の革とは、一味違ったナチュラルな素材です。凄いです。凄すぎて言葉も無いです。
とにかく凄いこの皮革をイタリアから取り寄せての製作となるのですが、実はこの文を書いている現在、更に試作を更に重ねております。 理由は新たに資料となるホルスターを手に取る機会に恵まれた事とそれに伴い新たな発見があったからです。前から気になっていた部分も含めそこから得た内容で形状を見直し、中に仕込まれるワイヤーの太さや形状も見直しております。
形状については文で説明しにくいのですがワイヤー形状は今までの”挟む力で保持”から”ワイヤーの形状で保持”の方向に切り替えて作業を進めております。
自分でも完成が楽しみなんですが、いかんせん部品製作が忙しくホルスターに時間が割けないのがちょっともどかしくもあります。現在ver.10まで試作しております。納得いくまで作りこもうと思います。
決してホルスターの事を忘却しているのではなく、より一層良いものに仕上げる為に地道に努力しております。
ここまでがホルスターについてバガボンド・マガジンで書いた内容です。
この後に納得のいくまで作りこむことが出来まして遂に完成となりました。
今後は時間の許す限りホルスター製作も行っていくつもりです。一つ一つ手作りですので短期間で纏まった数を仕上げるのは非常に難しいですが頑張って作りますのでよろしくお願い致します。
尚、本製品の形状は劇中のプロップホルスターを再現する事に重点を置いております。
落下防止ストラップ等もないデザインですので、ブラスターを収めた状態での激しい動きなどはブラスター落下の危険がありますのでご注意下さい。
※お問い合わせを頂きました留之助ブラスターpro及び高木型弐〇壱九年式爆砕拳銃にも当ホルスターは使用可能です。
そして最後に。
このホルスターには、革のお手入れ用のオイルが付属しております。
本製品は使うほどに味わいが増します。
皆様の手でこのホルスターを育てていただく事が出来れば幸いです。
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